出張先のホテルのエントランスで何気なく手にとり、 しばし時間を忘れた1冊。
谷崎潤一郎の文と、大川裕宏の写真。
文が絵解きになっていないことはもちろん、 写真が文をなぞっていない。
何度も読んだ『陰翳礼讃』に、 目ざめの水のような峻烈が走った。
旅先の出会いは、 人や食や風景だけとは限らない。
この本を鞄の底にしのばせて、 まだ陰が残る町へ走る列車に再び乗りたくなった。
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