観終わったあと、思わずギターが弾きたくなる。
そんなにうまくはないけどね。

ニューヨークの廃材から
ギターを作りつづける職人、
リック・ケリーと
そのお弟子さんのシンディ・ビュレットの
1週間を記録したドキュメンタリー。

ジム・ジャームッシュの
「パターソン」に構成が似ていると思ったら、
扇動者がジャームッシュなんですね。

1時間20分の映画は、
素敵な音色と職人技と名言の
オンパレード。

「建築を支えた古材をギターに変えて
新たな命を吹き込むんだ」

「古材はすべてありのまま、手を加えない」

「傷跡を隠す?
顔に刻まれたシワがその人の人生を語るんだ」

「生業としてやっているが、
ただの仕事じゃない。それ以上だ」

捨てるだけの廃材を、
傷も染みもまるごと生かして
作られたギターの音色に
頬をゆるめるのは、
なうてのミュージシャンだけでなく、
観ているわれわれも同じなのだ。

観終わったあとにつつまれる
このあたたかな気持ちはなんだろう。

おすすめです。

関連記事

  1. 2023.5.4

    室蘭の焼き鳥

      焼き鳥といえば、肉は鶏という思い込みは旅の途中で消えた。 職人をめぐる取材の旅で…

    室蘭の焼き鳥
  2. 2023.5.6

    はじまりとしての法隆寺

      大阪に住んでいてよかったと思うことのひとつは、古都が近くにあることだ。 京都が太陽だ…

    はじまりとしての法隆寺
  3. 2019.11.24

    人生で一番聴いた「アルバム」。

    FM COCOLOのメンバーがアルバムというパッケージ作品にこだわって愛着のある作品…

    人生で一番聴いた「アルバム」。
  4. 2023.3.18

    古本とラジオ

    劇場で「丘の上の本屋さん」、試写会で「午前4時にパリの夜は明ける」を観た。 …

    古本とラジオ
  5. 2023.4.18

    発売1ヵ月で重版決定!

     大阪のタクシー会社の社長・坂本篤紀さんの初めての本、「維新断罪」の制作のお手伝いをしました…

    発売1ヵ月で重版決定!
  6. 2021.4.21

    命のバトンを、希望のバトンへ。

    昨年の11月に、アドベンチャーワールドでパンダの赤ちゃんが生まれました。…

    命のバトンを、希望のバトンへ。
  7. 2021.12.16

    『音楽の聴き方』発刊記念トークイベント

    1月21日に、「I Stand Alone」につづく立川直樹さんとの新刊「音楽の…

    『音楽の聴き方』発刊記念トークイベント
  8. 2021.10.30

    移動日

    今日は、山形から新潟への移動日。移動日、なんて響きのいい言葉なんだろう。朝からチェッ…

    移動日
  9. 2019.12.21

    距離を置く。

    1年ほど前、うっかり床に落として動かなくなった時計。親父の形見で、もう40年も前のも…

    距離を置く。