出張先のホテルのエントランスで何気なく手にとり、
しばし時間を忘れた1冊。

谷崎潤一郎の文と、大川裕宏の写真。

文が絵解きになっていないことはもちろん、
写真が文をなぞっていない。

何度も読んだ『陰翳礼讃』に、
目ざめの水のような峻烈が走った。

旅先の出会いは、
人や食や風景だけとは限らない。

この本を鞄の底にしのばせて、
まだ陰が残る町へ走る列車に再び乗りたくなった。

関連記事

  1. 2024.5.16

    高村山荘

     空港のすぐそばにあると知ったのは最近のことだった。降り立つ機会があれば、延泊し…

    高村山荘
  2. 2021.10.30

    移動日

    今日は、山形から新潟への移動日。移動日、なんて響きのいい言葉なんだろう。朝からチェッ…

    移動日
  3. 2021.12.16

    『音楽の聴き方』発刊記念トークイベント

    1月21日に、「I Stand Alone」につづく立川直樹さんとの新刊「音楽の…

    『音楽の聴き方』発刊記念トークイベント
  4. 2023.5.13

    ラハイナまで来た理由

      高校生のころ、片岡義男の世界にはまった。 それは〝はまった〟という表現がぴったりで、…

    ラハイナまで来た理由
  5. 2023.5.7

    新宮の原稿用紙

      白浜で仕事があった。その前日の予定がなにもなかったので、いい機会だと考えて朝一の「くろし…

    新宮の原稿用紙
  6. 2023.5.3

    香港の万年筆

      万年筆を使うようになったのは30代前半からだ。 昭和の作家は原稿用紙のマス目に彫刻す…

    香港の万年筆
  7. 2023.6.1

    旅の相棒としての靴

      J. M. WESTONを「靴のロールスロイス」とたとえたのは松山猛だったと思う。その紹…

    旅の相棒としての靴
  8. 2022.10.2

    バー露口

    またひとつ、名店が灯りを落としました。バー露口。はじめて訪れたのは2016年。見ず知らず…

    バー露口
  9. 2024.3.30

    糸井重里と仲畑貴志のコピー展

      友人のコピーライターで、鎌倉で喫茶ギャラリー「アピスとドライブ」を営んでいる後藤…

    糸井重里と仲畑貴志のコピー展