橫浜の人は、全国の中華料理店で
食べることができると思っているけれど、
他県の人は、橫浜でしか食べることのできない
麺があることをあまり知らない。
その名は「生馬麺」、サンマーメンと呼びます。
(秋刀魚がはいっている訳ではありません)
醤油味のスープをベースにした細麺で、
もやしや白菜やニラなどの野菜と肉を炒め、
餡をかけた一杯。
戦前の橫浜の中華料理店のまかない料理として
だされていたもので、
料理人の食事がメニューに昇格した一品に共通している、
安くて、早くて、おいしくて、腹がふくれるという
すべての要素を満たした麺なのです。
ごく、ざっかけな麺であるのに、
お箸で麺をもちあげると餡がからんで、
独特の甘みとコクが口いっぱいにやさしく広がります。
そのおいしさは、どうして全国に広がらないか
不思議に思うほど。
だけどこの街でしか食べることができないから、
そのおいしさがひときわ際立つのかもしれません。
便利さと手軽さは、ときにその魅力とときめきを
無残に剥いでしまうものだから・・・。
サンマーメンを知ってからは
橫浜への仕事が入ると、
ランチか、帰阪する前に、どの店で食べようかと
思案するのが楽しみのひとつになっています。