多度津の港から小さな船で1時間。
その島には何もない。
コンビニもなければ、自動販売機もなく、
学校もなければ、レストランも酒場もなく、
信号もなければ、駐在所もない。
あるのは波の音と、鳥の声と、
夜になると現れる星だけだ。
なにせ人よりも猫のほうが多く、
家族の暮らしより空き家のほうが多い。
しかし蛇口をひねれば水はでるし、
スイッチを入れれば電気もつく。
スマートフォンはつながるし、
海辺の廃校を利用したホステルには
Wi-Fiも飛んでいる。
海底を水と電気と通信のLineが走っている。
しかし時が経てばLineも劣化する。
そのメンテナンスをする仕事を取材した。
Life Lineということばがあるけれど、
まさに島の暮らしと命と風景を支える仕事。
おかげさまと頭を下げたくなる仕事だった。
かけがえのない仕事は地味で、
そしていつも汗まみれだ。